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『イブニング』連載、「紫電改343」の第14話
日本の軍隊ではお馴染みの精神注入棒。今まさに注入されかかっているのが301、する側が407の本田少尉デス。本田少尉は初登場にて「直立不動の鬼バッター」と説明されたけど、バッターってこういう意味だったのか! 343に在籍していた人では数少ない健在者なことからエピソードを聞きたいものです。

それを止めたのは407の林隊長。理由を訊くと我々(上官)を目視したのに敬礼した・しないの顛末らしい。
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そこで林は同じ敬礼をするならば一歩足を止めて相手の顔を確認する。そうすればお互いに気持ち良かろうと説明し、両者を納得させました。けれど根本は「林隊長が臆病者」と噂されているから。なので上官だろうと407の隊員たちを蔑視というか、距離を置きたくなるのだろう。

その夜、隊舎を抜け出して温泉に浸かりに来た301の隊員たち。もちろん禁止行為です。
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でも先客がいたー。菅野だ
そもそも笠井が菅野に「松山は温泉があるからいい」と紹介したのがきっかけとなって343が松山に来たわけで、菅野が利用するのは当然だわな。無許可の外出は禁止だけど。
そこで一連の林隊長の噂を打ち明けます。そんな臆病者の隊長が指揮する部隊とは一緒に闘えないと!

そしたら菅野は困り顔で「それなら俺も臆病者になっちまう」と語り出します。俺は特攻の一番機に選ばれた男(正確には 選ばれたかもしれない男)なのに、今も死なずにぬくぬくと温泉に入ってる。フィリピンなどの前線で命を削ってる仲間からすれば今の俺は林大尉とさして変わらない。
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特攻から逃げて日本に帰った臆病者だ
これに反論しようとする隊員ですが、自分たちもフィリピンで別れた仲間たちからすれば、臆病者に見られても仕方ないと気が付くのでした。
死と闘って勝つ! それを臆病と俺は言わせない──
こう言って締めくくります。が、この一連の様子を源田司令と志賀飛行長が目撃していた! 全員軍規違反なので注意するのは当たり前なのですが…
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湯けむりで何も見えんが
なるほど…たしかに

と、見逃すとは二人とも懐が深いぜ! こういう上司ならば働き甲斐があるってものです。
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『イブニング』連載、「紫電改343」の第13話
301の隊員が整備兵から聞いた不穏な噂。それは新任した407の隊長・林大尉が とんでもない臆病者だというのだ。今回はその真相に迫る内容です。

二ヵ月前のフィリピン ルソン島の基地において、大川上飛曹ら数名が上官に 怒鳴りこんできた。なぜ我々が特攻選抜から外されたのか理由を聞きたいのだ。上官は語る。お前達には特攻に代わる重要な密命の任務が来たからだと。
密命とはインドネシアにある一大補給基地の破壊。16機の爆装零戦隊で1万キロもの距離を基地を経由しながら、三拍四日かけて飛ぶという過酷な任務です。敵に気付かれることなく、また奇襲が成功したとしても防御砲火は熾烈なものになるだろう。
名付けて「長距挺身攻撃隊」。この隊長に選ばれたのが林大尉です。
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挺身攻撃とは特攻と同じ。決意をもって任務を遂行する作戦が始まりました。が、さすがに1万キロは遠くて途中の事故・故障で8機が脱落。一機は誤って海中に突っ込み戦死。作戦は残る7機のみでの遂行となりました。
いざ目標近くまで来たら猛烈な対空砲火で全然 奇襲になってません。この噴水のような砲撃の壁を抜けることは出来るのか!?
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大川上飛曹は「なめんなよアメ公!! 俺達は挺身隊だーー!!」と叫び、必死の思いで突っ込んで行った。奇跡か、御釈迦様の悪戯(いたずら)か、大川の零戦は砲火の壁を突破して目標に爆弾を投下することに成功。再び弾幕の壁も突破して帰還の途につくわけですが…抜けた先に誰も待っていなかった。他の全員全て撃墜されてしまったのか?

途中基地に着陸したところ出迎えたのは林大尉。なんだ、爆撃に成功して先に帰ったのかと思いきや、話を聞いて愕然とする。
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弾幕突破は無謀と考え
列機と共に手前で引き返しました

なんと敵中に突っ込んで行ったのは自分だけ。大尉らは無理と判断して引き返していたのだ。通りで先に帰っていたわけだよ。
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挺身隊ってのは命をかけた任務じゃねえのかよ!?
それがなんで早々に退避してんだよ!

と怒りが収まりません。これが林大尉が臆病者とされる真相でした。

301はこれを聞かされ黙り込む。嘘とするにはあまりに具体的すぎるからだ。本当に臆病者ならば俺達は上手くやっていけるのかと不安になる一同でした。
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『イブニング』連載、「紫電改343」の第12話
301と701の飛行訓練を見つめる源田大佐。自身もパイロットだったことから紫電改で飛びたいと言い出した。もちろん乗るのは初めてだけれど、開発に携わった志賀飛行長が直々に教えるのだから問題はあるまい。ただ、機体を貸すことになった菅野は壊されないか不安でたまらないみたいだけどね。
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飛ぶにあたって飛行長も随行することになりました。「生で源田サーカスが見られるぞ」と、隊員たちは騒ぎ始める。ここで連載初期にも記述してあった「源田サーカス」について説明を。1930年代に源田が隊長として編成した非公式のアクロバット隊のことです。宙返りや逆さ飛行などして軍のアピールをしたのですよ。当時まだ珍しかった曲技飛行に感動して軍に入った人もそれなり居たみたいですね。
その(伝説的な)人が紫電改に乗るというのだから隊員たちが色めきだすのも無理ありません。また「司令官が乗る」という行為自体が隊員たちのやる気を引き出すというものでしょう。

飛んでみて源田は「これぞ戦闘機 勝てる機体だ 紫電改」と高評価。その一方、飛行長は先に帰還してしまいました。源田はどこに? 実は今日になって乗りたくなった本当の理由が別にあったのです。それは待望の戦闘407飛行隊の着任日だから待ちきれなくなって紫電改で出迎えに行ったというわけだ!

そして源田は三機の零式輸送機(だよね?自信ないけど)を引き連れて帰還。降りて来た隊員たちの雰囲気が重々しくて圧倒される301の面々。
直立不動の鬼バッター 本田稔 飛曹長!
空海「瑞鳳」艦隊船団機隊の生き残り 下鶴上飛曹
絶対死なない奇跡の生還男 田中上飛曹
甲飛10期の仲間が世話になった教官 大原飛曹長

(この中で本田稔さんは今でも健在です。二番目に「空海「瑞鳳」」とありますが、たぶん「空母「瑞鳳」」の間違いでしょう)
そしてこれらの猛者を束ねる隊長こそ!
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林 喜重大尉です。名前が「きじゅう」だったり「よししげ」だったりよく分かりません。恐らく「よししげ」が本名、「きじゅう」が あだ名ではないかと思われ。
優しそうな顔に平穏な挨拶。正直、拍子抜けする一同でした。その林隊長に対して整備兵が「フィリピン帰りから嫌な噂話」を聞いたという。
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林隊長はとんでもない臆病者らしい
それは嘘か真か!? 疑惑があるなら確かめねばなるまい!

今回の4ページ目の源田を描いている先生です。このような硬派な漫画を描いている一方で、「全裸監督」の漫画化も連載決定。4月21日発売の『コミックバンチ』でスタートです。
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今朝の新聞を見て驚きました。343海軍飛行隊の一員であり、「紫電改343」にも登場している笠井智一さんが亡くなられたとのこと。戦後は343の生き証人として数多くの講演を行い、平和を語って来た笠井さんのご冥福をお祈りいたします。
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これは1月1日の記事の画像そのまんま。活字だけよりも画で描かれている方が現実感が湧くなぁ。
このことはもちろん作者である須本壮一さんも哀悼の意を述べられてます。笠井さんは菅野よりも杉田との付き合いが長かったので、杉田が死去した時は相当悲しまれる姿を描かれるかもしれません。

インタビュー映像。7:30ぐらいから343について語られてます。(昭和19年)12月10日頃に紫電改を初めて見たこと、基地を松山にしようと菅野に勧めたことなど、笠井さんが居なければ松山基地じゃなかったかもしれないとは驚きです。
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『イブニング』連載、「紫電改343」の第11話
昭和20年(1945年)になって米軍の第五艦隊は日本へ接近。いよいよ日本本土攻略作戦が動き始めようとしていた。
1月19日、源田大佐が松山基地に着任。真っ先に出迎えたのは飛行長の志賀淑雄(しが よしお)でした。真珠湾攻撃ではオアフ島飛行場を最初に攻撃した隊長を務めてます。また紫電改は開発からテストパイロットとして関わった実績があるなど、だからこそ343の飛行長としては最適として任命されたのでしょう。

そして源田司令に敬礼する菅野・鴛淵(おしぶち)たち301・701の隊員一同。
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待たせたな、君たちに期待するという旨を源田は発す。その際、ようやくまだ来てないもう一隊の林喜重(はやし きじゅう)大尉が率いる407について語られました。343はこの三人の隊長のもとで活躍することになります。ちなみに林が着任するのは26日なので ちょうど一週間後になります。

源田は言う。「天空の盾となり我ら日本の空を守ってほしい」と。ところが異を唱えた菅野。
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我々の決意は盾になることではない。敵を粉砕する剣となって闘いたいとして、部隊名だけでも剣部隊と命名して欲しいと懇願。これには鴛淵たち701の面々も賛同したことから反対する理由が見つかりません。
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よって343の部隊名は正式に「剣部隊」と決定。隊員一同は雄たけびを上げた──

ところで343飛行隊を舞台にした映画「太平洋の翼」をご存じでしょうか。三船敏郎・加山雄三を始め、当時の東宝のバイブレイヤーがズラリ。珍しく渥美清も東宝映画でありながら出演してます。けれど内容がまるで違うのですよ。源田が千田に、菅野が滝に、鴛淵が安宅に、林が矢野へと名前が変更。だって史実を綿密に描くわけじゃないので、そのまんまじゃマズイしね。

それにストーリーがスゴイ。前半は343結成のため三人の隊長が帰還するまでを描くのですが、安宅は硫黄島から潜水艦で、矢野は敵船を奪って戻るなど、史実と全く違うので笑っちゃいます。つーか、戦闘機はどこにいったんだよ。
コロナ禍で自宅に居る時間が長くなるのでしたらVODなどでご覧になってください。
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新年最初は今の私が一番気に入ってる漫画「紫電改343」の話題から。今年は菅野直の生誕100周年になります。なので登場人物の当時の年齢について語ってみようかなと。戦争には若くして参加した人が少なくありません。自ら志願した人もいれば、赤紙で招集された人など様々。年齢も15・16歳という若さで入隊した人もいるわけで、当時は幼くして戦争に駆り出された人がいたのですよ。

で、上の画像は菅野直。今の漫画の時系列(昭和20年(1945年)1月)にして24歳になります。17歳で海軍兵学校に入校して卒業後には戦艦・榛名に乗ったことがあるみたいですね。飛行学生時に乗った飛行機を幾つも壊し、付いたあだ名が「菅野デストロイヤー」。敵ではなく味方から言われていたのだからサマになりません。
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大空のサムライこと坂井三郎。この当時は28歳。ガダルカナルで負傷して右目がほとんど見えなくなるも、尚も指導者として戦闘機に乗り続けました。ラバウルの敵飛行場・セブンマイル飛行場上空において、三機による空中三回転は敵からも賞賛された逸話として有名です。戦後は前述の「大空のサムライ」を書いてベストセラーとなり、日本を代表する撃墜王として知られることになります。
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701飛行隊隊長の鴛淵孝(おしぶちたかし)。当時は25歳wikiを読んでも彼には誉め言葉しかなく、漫画通りの好青年だったようだ。優れた指揮誘導力を持っており、これが343の活躍の原動力だったのは間違いないだろう。
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杉田庄一。この当時は20歳!工工エエェェ(゚Д゚)ェェエエ工工
どう見ても菅野より上だろ!? でも年下なんだよねー。戦闘機乗りは、というか兵隊は死を常に覚悟しているというけれど、既に達観したんだろうなぁ。これというのも山本五十六を護れなかったという引け目を持っており、過酷な任務を背負わされたことが原因だと察します。更にこの人、死後もロクな目に遭わないのだから死神に魅入られたとしか思えないヨ!
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笠井智一。この当時18歳! 16歳で入隊して17歳にして零戦乗りになりました。漫画では菅野の部下ですが、それ以前から杉田の部下になってます。酒やタバコもやるけれど、当時の兵隊は特に規制はしてなかったのかしらん? 上の登場人物は既に全員亡くなっているものの、この人だけは94歳になった今でも健在なんです! すなわち菅野を今でも知っている数少ない生き証人だから長生きして欲しいね。

その笠井さんの講演会の様子。このような公演を何度もやってたみたいです。今は知りませんが。終盤になって長崎の原爆雲を見たことを語ってます。
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『イブニング』連載、「紫電改343」の第10話
菅野たちの301飛行隊の編隊飛行訓練が終了し、今度は鴛淵(おしぶち)たち701飛行隊の番。機体を引き継ぐ際に鴛淵は相談を持ち掛けて来た。301は先行して343航空隊に来ただけに各紫電改の特徴や癖を知っているハズ。我々は着任したばかりなので、それを教えて欲しいというのだ。

鴛淵は気さくで爽やかで礼儀正しい人物。だから教えることは嫌ではない。嫌ではないが…菅野にとっては礼儀正しいことがむずがゆいのだ。立場上では鴛淵の方が上なのだから、そこはビシッと命令してくれた方が菅野の性格に合うってことです。
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そんな話を部下にしてたら日光から「大変だ」と報告が。701が11分もかからずに編隊を組み終えたと聞かされて301の隊員たちは騒ぎ出す。昨日まで20分以上かかってた連中なのに、俺達が一ヶ月かかった時間をあっさり上回ったことが悔しくてたまらないのだ。菅野は沈黙してるけど内心では同じ気持ちに違いない。
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その夜、1話などにも登場した杉田庄一が301に加わったことへの歓迎会が開かれました。この人も主役を張れるほどのエピソードを持ってるんですよ。何と言っても山本五十六を護衛していながら護れなかった6機の戦闘機の一人。その責任を取らされて過酷な任務に就かされるんです。事実、他の5人のうち4人は二ヶ月半の間に戦死。あと一人も片手を失い、杉田も全身火傷の重傷を負うなどしてます。

宴会は進み菅野はすっかり酔ってます。そこに「隣では701の連中が来ている」との報告。しかも菅野が好きな ちり鍋をしていると聞かされては黙っていられるわけがない! 勢いよく走って来る足音が聞こえたと思ったら、ふすまを突き破って菅野が乱入してきました! いったい何事? あまりの事態に701の隊員たちが混乱するのも当然だ。
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あ、そっちか
酔った勢いで ちり鍋をムリヤリ強奪すると思いきや、さすがにそこまでは理性は失ってなかった様子。むしろ逆に酔った勢いだからこそ、鴛淵に訊きにくい編隊飛行の秘密を教えてくれと頼みます。これをあっさり教えちゃう鴛淵も鴛淵だけどな。
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だから俺にも こーゆー風に気になることは
はっきり聞いてくださいよ…
301と701に秘密なんていらねーんだから

ははーん、菅野は自分の行動から鴛淵に「こうして欲しい」と伝えたかったというわけか。意を酌んだ鴛淵はこれを了承。これにより二人の仲は一気に親交したようで、堂々と ちり鍋をいただくのでした。
うーん、ちり鍋 欲しさにすり寄って来たとも考えられるけど…鴛淵が嫌な顔をしてないのだからノープロブレム! これをきっかけに両隊が仲良くなれたらいいよね。