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98~06年の8年間『ビジネスジャンプ』で連載されコミックスは全19巻に及ぶ甲斐谷忍の野球漫画「ONE OUTS」。今週の10月7日から日本テレビでアニメ放送が始まることから紹介したいと思います。

野球漫画といったら「巨人の星」「侍ジャイアンツ」のように魔球を投げる作品、「キャプテン」「プレイボール」「おおきく振りかぶって」のように友情やチームワークをメインにした作品、「ドカベン」「野球狂の詩」のように各選手の活躍を取り上げる作品など様々ありますが、「ONE OUTS」はそれらに一切属しません。
それは2巻の表紙カバー折り返し部分にハッキリと書いてあります。

あらゆる野球漫画のアンチテーゼとしてこの作品は作られてます。
1つは、主人公のピッチャーが剛速球を投げないこと。
1つは、努力と根性が必ずしも勝利に結びつくとは限らないこと。
そして最も重要なことは、主人公が悪党であること。

そうです。この作品の主人公・渡久地 東亜(トクチ トーア)は沖縄で"ワンナウト"という賭け野球で無敗を誇っていた悪党なんです。そこをリカオンズの大打者・児島と勝負することになり1度目の対決は勝利したものの、二度目では児島の気迫に初の敗北を喫します。これがきっかけで児島はトーアをリカオンズの一員に誘い、いまだ成したことの無い優勝を目指すことになる──

プロ契約にあたりトーアがオーナーに要求したのは"ワンナウト契約"。「ワンナウトにつき5百万もらうが1点取られたら5千万支払う」という条件にオーナーは快諾。なぜなら防御率計算で1試合に2点でも取られたらトーアがマイナスになるからだ。
ところが! そうはいかないのがトーアの投球術。120~130キロ程度のストレートしか投げられないのになぜか打てない打者。トーアに支払う金額はやがて膨大な額になっていく…
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この作品の特徴を二点上げるとするなら、1つ目はトーアは相手打者との対決はもちろんオーナーともお金で対決していること。そして2つ目は甲斐谷作品独特の心理戦な野球にあることです。

1つ目は金にうるさいオーナーがこともあろうにトーアが負けるような仕打ちをしてきます。普通のオーナーならチームが負けるようなことはしませんがこのオーナーだけは別。トーアを負けさせようと連続先発させたり、レートを吊り上げて何としてもマイナスに追い込まんと嫌がらせをしますがそこを返り討ちにするのが面白い!
対戦球団の様々な巧打者との対戦もさることながら、オーナーとはお金でも戦っているところがこの作品の普通でないところがわかります。

2つ目はこの作品の根幹というべきこと。トーアは120~130キロのストレートしか投げられませんが制球力はピカ一。これにトーアの最大の武器といえる洞察力と勝負感が加わることで相手が打てなくなるのです。
最高のボール」とは何でしょう? それは剛速球でも自在に変化する変化球でもありません。打者が打てないボールなんです。相手の虚を突いたものと言うか絶対に投げてこないだろうというボール──時にスローボールだったり得意なコースだったり──を投げることで打ち気を逸らす。トーアは相手の心理を読み取ってそこに投げることのできる頭脳野球をやってのけるです。
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またこの頭脳野球は自分のピッチングのみならず相手ピッチャーを攻略してしまうこともありました。
ストレートと変化球のどちらもフォームが同じで見分けがつかないピッチャーに対し、「変化球の時にグラブが開くクセがある」とワザと聞こえるよう話しをします。これによりピッチャーは"変化球はグラブが閉じてストレートでは開く"ようなクセができてしまい、そこをつけ込んで攻略してしまいました。
このように相手を陥れるトーアのしたたかさも作品の魅力の一つです。

日テレの深夜アニメといったらMONSTER・DEATH NOTE・カイジ・アカギと、心理を描く作品が目立つ中でまた一つ加わるONE OUTS。トーアの破天荒な頭脳野球に注目してみてください。
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