niku090604
『ヤングマガジン』連載、「肉の唄」の第1巻です。
当ブログ読者で金曜の夜8時に放送していた「ワールドプロレスリング」を観ていた人はどれぐらい居るだろうか? IWGP優勝戦で猪木がホーガンにまさかのKO負け、タイガーマスクやダイナマイト・キッドらのジュニア抗争、長州の維新軍の設立、はぐれ国際軍団のラッシャー木村・アニマル浜口・寺西勇の乱入、若松市政率いるストロングマシン旋風など数多くの出来事が思い出されます。

しかし今となっては遠い昔──これというのもUWFやシュートや総合といった新しい格闘技の登場でプロレスがエンターテイメント的な要素が強いと知ってしまったからです。これにミスター高橋の暴露本「流血の魔術 最強の演技」の影響で「プロレスは八百長」なイメージが完全に根付いてしまいました。

そこでもってこの「肉の唄」は「プロレスは八百長です」とハッキリ言っちゃってます。が、そこから見い出す別の見方に気が付くわけで、それが今まであった格闘漫画と全然違いますね。

一色亮太は金に困っていた。彼は元総合格闘技の選手で、現在最強とされている選手に唯一勝ったことのある実力の持ち主ながらなぜか永久追放となったの身分(理由は不明)。そこでお金目当てに「新世紀プロレス」に道場破りを決行することに──

社長兼メインレスラーの佐島を前に一色はプロレスは八百長だのインチキだの真剣勝負が怖いだけだろと散々けしかけるも佐島は平気な顔で言い放つ。
niku090604-
無論、プロレスは八百長です
真剣勝負などという子供のお遊戯につき合ってる暇はない


最初これを読んで私も面食らいました。こんなこと書いちゃっていいの?と。「真剣勝負などという…」のくだりは後になってその理由がわかります。
結局勝負を受けることになった佐島は練習生の小坪を代表に立てて「ヒンズースクワットデスマッチ」を行うと宣言。これに一色は驚くも楽勝だと受けることに。ただし「負け役」として。

やってる最中に「負け役」の意味を理解する一色。ただ負けるだけなら誰だって出来る。勝者よりも観客の意識を捕らえたままいかにして負けるかが問題なのかと。そしてそれがプロレスの見せ所だということを。

ここんとこ読んで目からウロコな気分です。真剣勝負は確かに観るだけなら迫力があるだろう。でもそれは試合というより競技なんですよ。どちらが勝つか負けるかの二択でしかありません。
そうではなくライバルとの争いとか軍団抗争とか、数々の要素が絡んで別の視点からでも楽しめるのがプロレスなんです。いかに観客の心を捕らえて楽しませるのがプロレスなんだと!

思えば猪木の試合は逆転勝ちの連続でした。最初は優勢でも途中で必ずピンチになり最後になって逆転勝ちという展開に私たちは酔いしれました。今になればそれが演出だったとしてもあの時の酔いしれた気持ちにウソ偽りはありません。
かつてプロレス好きな少年だった人は是非とも読んで欲しい作品です。

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