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『別冊ヤングチャンピオン』連載、「Dr.キリコ 〜白い死神〜」の2巻です。
ブラック・ジャックと対極する存在であるDr.キリコ。死神と呼ばれる彼であるが、金を積まれれば誰でも安楽死させるわけではない。死神であっても殺し屋ではないのだから…
Dr.キリコが己に課している条件は三つ。
一つ 助かる見込みがない事
二つ 生きているのが苦痛である事
三つ 本人自らが死を望んでいる事
そして施術料は500万円。眠るように苦痛の無い死が得られるのなら、この価格は高いか安いかは自分次第!
2巻は全て読み切りの6エピソード、そのうちの3つを紹介します。

第7話 死神泣かせ
死を恐れない「死神泣かせ」と呼ばれるマフィアのボスの安楽死を依頼されるキリコ。助かる見込みがないので上記の条件の「一つ」と「三つ」はパスするも、まだ苦痛に至る前なので条件に当てはまらない。けれどボスは執拗に迫る。それはいつ訪れるかわからない死が怖いから。けれど世間体の手前、そういう姿を見せるわけにはいかない。だから伝説を残したまま死にたいのだと。
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けれどキリコには罠が待っていた。自分が"怖がっている"という弱みを知られたからには生かしておけぬと、自爆する仕掛けをしていたのだ。それを見抜いたキリコはボスに社会的失墜に至らしめる最大限の屈辱を与えることに…
ある意味、キリコの嫌らしさをもっとも引き出してます。こういうやり方で罰を与えられては、とても表を歩けなくなるだろうな。

第8話 ロボットと死
私が最もグッときた話がこれ。事故により人工呼吸器がないと生きられなくなった主人。仕えるロボットはキリコを呼んだ。これに家族は激怒。安楽死なんてさせたくないからだ。けれどロボットは言う。主人は以前、このような状態になったら安楽死を望むと。まして人工呼吸器の費用もバカにはならず、家計を圧迫している。よって安楽死が一番最善であると。
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だったらロボットが人工呼吸器を止めればいいとするも、ロボット三原則の第一条にて人間の生命に危害を加えられない。けれど第二条には法律に反しない限りは人間の命令に従えとある。ロボットとしても第一条と第二条に挟まれてどうすればいいのかわからない…
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そこでキリコはヒモを用意し、「これを引っ張れるか?」とロボットに問う。ヒモは主人の部屋に繋がっており、恐らくは人工呼吸器に結び付けてあって引けば装置は止まるだろう。でも確認してないからには断言できない、よって三原則には当てはまらずヒモは引けるハズだと。
あぁ、これってシュレーディンガーの猫みたいなものですね。ヒモを引くべきか、聞かざるべきかロボットは考えて──
このエピソードは生きることの是非を問うことで実に考えさせられました。私が思うところの傑作の一つだと思います。

第12話 死神の瑕(きず)
戦地帰りの兵士の復讐劇。その男は自爆攻撃に遭い、右半身を吹き飛ばされた。それを診たのがまだ若い頃のキリコ。男は痛みに耐えきれず「殺してくれ」と頼むも、キリコはこれならまだ助かるとして意志に反して処置を行う。
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確かに男は助かった。けれどその姿ではまともな働き先など見つかるわけもない。あのまま死んでいれば二階級特進で家族には遺族年金も出たハズだ。俺は愛されながら死ねたのにとキリコを恨む。
助けたことで悲劇を生んでしまったという やるせなさ。こう思われたら医者なんてやってられないよね。
Dr.キリコ~白い死神~ 2 (ヤングチャンピオンコミックス)
Dr.キリコ~白い死神~ 2 (ヤングチャンピオンコミックス)
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