「ブラック・ジャック創作秘話 手塚治虫の仕事場から」原稿から汗臭さが臭う一作

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『週刊少年チャンピオン』で2009年から不定期で掲載していた「ブラック・ジャック創作秘話 ~手塚治虫の仕事場から~」の全7話がコミックスになりました。
昭和40年代中期、劇画が好まれるようになって手塚治虫の漫画は時代遅れとされ仕事が減るとともに「虫プロ」も倒産。漫画家人生において最大の危機が訪れます。そこに『少年チャンピオン』の名物編集長・壁村耐三に誘われて(ウィキだと手塚自らが持ち込んだ企画とされてます)引退作品のつもりで描いたのが「ブラック・ジャック」でした。このヒットにより手塚は蘇り その後も「三つ目がとおる」などのヒット作を残していきます。
この漫画はその当時の苦労話を編集者や漫画家から訊いて構成されたものです。

この漫画における手塚は良くも悪くもハッキリ言ってムチャクチャですわ! 虫プロ倒産に懲りて「もうアニメはやらない」と言っておきながら5年後に再開。作ったら作ったでリテイクを連発させて現場はてんやわんや(懐かしの漫才師ではない)の大騒ぎ。あげく製作デスクが失踪してしまったことでバイトを製作キャップに仕立てて続けるなど、今では というか今でも信じられないことをやっていたそうです。「漫画の神様」と言われる手塚をヨイショする一辺倒ではなく悪い部分もハッキリ描いていることが私としては好印象です。
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好印象という点では描いている吉本浩二の絵柄もそう。クーラーの無い暑い夜中に汗水垂らして必死な形相で原稿を描く手塚の見るからに汗臭そうなこと! そういった泥臭さ、汗臭さが感じられる絵なんて私は漫画太郎か青木雄二ぐらいしか知らなかったので そういう意味でも印象に残りました。
上の画像は新担当と打ち合わせをした時に適当なことを言ってしまったことから怒る手塚。どんなに忙しくともブラック・ジャックはいつも三つの案を出してくるそうで、その中で手塚にとってどれが本命なのか それを当てるのも仕事だったようです。
いやはや、担当も漫画家の気持ちがわからなければダメってことですね。

この漫画は当時のアシスタントだった石坂啓や小谷憲一や寺沢武一などの思い出もあって興味深かったです。そのコメントからは停滞することなくいつも新しいものに目を向けていたことが伺えます。「ドカベン」の集中線を参考にしろとか新しい発想に飛びつくところとか。
それでも私としては名物編集長の壁村耐三の奇行には驚かされます。
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壁村については「まんが道」にも「激マン!」にも登場するので知ってる人も居ることでしょう。ここでは手塚の入稿が遅れるということで喧嘩腰で印刷所を待たせるとか、居留守を使った赤塚不二夫を電柱に登って部屋に居ることを確認して押し入るなど、この人もやっぱりムチャクチャなことをやってます。とはいえこの人が70年代中期に「ドカベン」「がきデカ」を大ヒットさせて『少年チャンピオン』を一時的ながら少年誌の発行部数トップに仕立てた功労者なのは紛れもない事実です。
編集長といったらジャンプの堀江とか後藤とかが有名でしょうが、もし貴方が編集長について語るのならば壁村耐三も是非記憶に留めてください!

あ、そういやジャンプ編集長が今週号から佐々木から瓶子になったんだけどあまり知られてないね。瓶子は「幕張」で鬼瓶という名で遊ばれてたっけ。「バクマン。」で佐々木編集長の扱いが今後どうなるのか気になります。
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コメント
この記事へのコメント
瀬戸てんやわんや・・・か
もしかしてここの主は昭和40年代生まれですか
2011/07/10(日) 17:06 | URL | 名無し #-[ 編集]
獅子てんやと瀬戸わんや、です。
2011/07/12(火) 12:27 | URL | 名無し #-[ 編集]
教えてくれてありがとう

ピ、ピ、ピョコちゃんの人達だよね
2011/07/13(水) 10:48 | URL | 名無し #-[ 編集]
どうも!参考になりました!
まさか大炎上で吉本浩二がでるとおもいませんでした。

2011/07/15(金) 02:49 | URL | notyou #2Aqq0/Sc[ 編集]
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