プロレス対柔道(前編) ジャンプ掲載の大正時代の実録異種格闘技戦

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『週刊少年ジャンプ』1976年(昭和51年)21~26号にかけて全6話で短期連載した「プロレス 対 柔道」をご存知だろうか。原作は金曜夜8時の「ワールドプロレスリング」の解説でお馴染だった桜井康雄氏。この1976年は猪木がウイリアム・ルスカ(オリンピック柔道金メダリスト)と初めて「格闘技世界一決定戦」と銘打った異種格闘技戦を行った年。それに関連づけて大正10年に実際に行われたプロレスと柔道との戦いを紹介したのが当漫画です。
全6話をレビューするには長いことから今日・明日の2回に渡ってお届けします。(当作品はコミックス化していません)

明治時代となって数多くの柔道家が普及や武者修行のため海外に渡りました。その中にコンデ・コマこと前田光世も居るのですがそれはまた別の話。アメリカで柔道は海軍兵学校が採用するなど上流階級を中心に広まっていったらしく、ちょっとしたブームだったようです。
そんな中、自称八段・野口潜竜軒という柔道家が あるプロレスラーと戦って負けたことから「プロレス対柔道」が始まります。講道館は汚名を晴らさんと伊藤徳五郎、坂井大輔といった実力者たちをその男にぶつけるも、ことごとく敗退してしまう…

その男とはアド・サンテル。当時"不敗の帝王"と呼ばれたフランク・ゴッチとのタイトルマッチで引き分けたり、晩年には"鉄人"ルー・テーズにバックドロップを教えたという名レスラーです。
そのサンテルが大正10年2月に弟子のヘンリー・ウェーバーを引き連れて海を渡る。目指すはもちろん日本です。全ての柔道家に勝ったのだから俺は柔道世界チャンピオンだ。だから講道館の日本のチャンピオンと戦いたいと!
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講道館の嘉納治五郎師範は迎え撃つつもりでいたのですが三船久蔵や岡部平太郎といった反論する者が現れます。サンテルはプロレスラーであって柔道家ではない。プロレスは見世物であって柔道とは本質的に違うものだ。彼らは柔道を利用して金儲けするのだと。
たび重なる説得に遂に折れた治五郎は、戦った者は破門にすると禁止令を出すのでした。

これに納得いかないのはサンテル。いや、全ての柔道家。いや、全国民と言えるだろう。この場になって怖気づいたのかと誹謗中傷の雨あられ。戦うつもりだった当時最強の徳三宝は破門覚悟で準備するも、恩師の説得によって泣く泣く断念することに。

ではいったいどうするのだ? サンテルの言いたい放題を黙って聞くしかないのか? そこに段の浅い4人の柔道家が名乗りを上げます。
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右から永田礼次郎、増田宗太郎、清水一、庄司彦雄。どれも二段~四段と階級の低いものばかりですが破門を覚悟しているだけに志は厚い! そもそも男の価値は階級で決めるものではありませんから。
こうして大正10年3月5日、靖国神社にて国内では初めてだろうプロレスと柔道との歴史的対決が始まるのでした!
試合は5日と6日に分けて二試合ずつ全4試合。5日はヘンリーVS増田、サンテルVS永田。6日はヘンリーVS清水、サンテルVS庄司。20分三本勝負で始まりました。
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第一試合の一本目は柔道に慣れてないヘンリーだけに増田のギブアップ勝ち。そもそもプロレスラーなのに柔道着着用が嫌だとはごもっともな意見です。とはいえサンテル側は柔道世界チャンピオンを名乗っての試合なので、柔道着を着らなければいけないのも当然な理由でしょう。
二本目は裸絞めでヘンリーの勝ち。三本目は時間切れ引き分けにより一勝一敗一分の、引き分けとなりました。

第二試合はメインたるサンテル戦。その怪力ぶりが発揮されます。
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一本目、途中までは五分の展開。永田の うしろ腰が決まるも、サンテルは座ったままで一本背負いを決めるなど尋常じゃないバネを見せる。裸絞めをガッチリ決められた永田は落ちる寸前でタイムアップに救われて引き分けに。二本目は反則まがいのヘッドロックによってサンテルのKO勝ち。ブラウンレフリーの判断に日本の審判は抗議。観客たちも同じくブーイングするのですが、当の永田が「負けは負け」だと潔く負けを認めたことでこの場は丸く収まります。
そして三本目──永田はドクターストップによってリングには現れませんでした。これによってサンテルの二勝一分けとなり、第二試合はサンテルの勝利。柔道が負けた場面を目の当たりにした関係者は驚きを隠せません。
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こうして初日を一敗一分けで終えた日本勢。負けることは許されないと厳しい世論に清水と庄司はどう戦う? つづく
後編記事:プロレス対柔道(後編) 全てはサンテルVS庄司戦に賭けられた!

講道館柔道対プロレス初対決―大正十年・サンテル事件
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