KIMURA 木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか vol.0

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『週刊大衆』連載、「KIMURA 木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」のvol.0です。
木村政彦。戦前から戦後にかけて全日本選手権を13年連続で保持し、15年間不敗のまま引退した至上最強の柔道家といえる人物。しかし今ではほとんど無名なのはなぜか? 
去年発売された単行本でショッキングなタイトルだった「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」を完全漫画化。

私が現在、月曜に読むのを楽しみにしているのは少年ジャンプと週刊大衆連載のこの漫画なんです。実は今月出るコミックスで最も楽しみにしていた本だったりしてね。vol.0とvol.1が同時発売でvol.0の当コミックスはプロローグといえるもの。"あの試合"のエピソードと、原作者が当作品を書くきっかけ等が語られてます。vol.1は木村の幼少期からの物語です。

男の星座たちに捧げる──

これは連載時のトビラ絵に必ず書かれている一文。また当コミックスの冒頭にもあります。「男の星座」とは梶原一騎の引退作であり未完に終った遺作。梶原の作家・原作者人生を綴った自伝漫画で、当作品はその影響を強く受けたオマージュ的な作品ともいえるからです。
「男の星座」「木村政彦はなぜ…」ともに冒頭に描かれているのが"あの試合"。昭和29年(1954年)12月22日に行われた力道山と木村政彦の一戦です。
"昭和の巌流島"ともいわれた世紀の一戦は予想もしない結果に終ります。当漫画ではこの描写があまりないので「男の星座」の一場面の絵を使いますね。
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試合途中で木村の蹴りが力道の金的に当たり、これにキレた力道が本気で木村を潰しにかかる。結果、力道が勝利して木村の名誉は地に堕ちる…。実はこの試合、両者の名誉のためにも引き分けることが決まっていた八百長試合だったのですが、力道が約束を一方的に破棄して木村を倒してしまったのです。

八百長試合だから自業自得だの言うことなかれ。約束は約束でありそれを反故したのは力道山の方。木村は短刀を懐に隠し持ち力道を付け狙ったといわれてます。しかし怒りを胸に抱えたまま75歳で生涯を閉じるまで半生を苦しみ耐えたのはなぜか? それが当作品の終着点なわけですが、このvol.0ではまだそこに達してしません…
尚、この一戦が今では気軽にYouTubeで見られるのが時代の進歩ですね。

この10:32ぐらいで金的蹴りが入り、そこからの力道山の動きが一変してるのがハッキリわかります。ただ「男の星座」にしろ「木村政彦はなぜ…」にしろ、実際の映像から感じられるダメージよりもっとオーバーに描かれてるとしか思えません。まともに立てないほどのダメージは受けてないよなぁ…

"あの試合"以来、隠遁生活のような暮らしだったらしい木村。その木村に取材をしたのが当時まだ作家だった猪瀬直樹現東京都知事。門前払いを何度も食らいながらも通い続け、ようやく受けてもらったインタビューにて驚いたようです。
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力道山が死んだのはヤクザに刺されたからではない。自分が額に「殺」と書いて念じたからこそ死んだというのだ。これを聞いた猪瀬現都知事は…少なからず困惑して「頭 大丈夫か?」ぐらいなこと思ったかもしれません。でもよく考えて欲しい。力道山によって人生を台無しにされたのだ。そう思わねばやってられないぐらいな感情を持って不思議じゃないでしょうよ。
尚、原作小説のこの部分は水道橋博士がラジオ番組で朗読してます。原作そのまんまの文章からイメージする映像を貴方も想像してみてくださいな。
水道橋博士が語る「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」(Youtube)

さて、この原作小説は作者が木村びいきなことが如実に表されており、木村を思って何度も泣いている場面の多いこと。作者にとっては完全に木村が正義で力道が悪なんですね。作家として公正さに欠くその態度はどーよ、と思うのはさて置き、後半の多くは作者の後輩にあたる柔道出身の格闘家・中井祐樹の戦いが描かれてます。
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片目を失明しながらも決勝戦まで勝ち進んだ行為を木村と重ね合わせてまた泣いてるよ。柔道を修めた中井が大方の予想を覆して決勝まで上がってくれた。「本物の真剣勝負」とは何かを見せつけてくれたと言うけれど、木村本人でない人物がそうしたところで読者としてはインパクトが薄すぎるのですよ。ここでもやはり作者の思い入れでそのように結論付けたとしか思えないんだけどね。

プロレス黎明期の一戦から紐解く木村政彦の壮絶な人生を貴方も是非知って欲しい!
木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか
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KIMURA vol.0 ~木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか~
KIMURA vol.1 ~木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか~
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コメント
この記事へのコメント
力道山の人物像がアレ過ぎるってのもあるし判官贔屓も仕方ないかなぁって
持ち上げ過ぎてなんかキモいけど木村が八百長に挑んだ動機とかはほぼ史実だし
2013/10/20(日) 10:08 | URL | 名無し #-[ 編集]
取材の相手を「木村氏が正しい」という意見を引き出すために説得にかかる、第三者が言っていたというだけで事実と決め付けるなど「正直それはどうなんだろう」と思うような箇所もありますが、非常に楽しめる本だと思います。
ブ厚いのがまるで気にならないほどスイスイ読めました。
2013/12/11(水) 04:06 | URL |   #-[ 編集]
↑のコメはあくまで原作のほうです。
書き忘れ失礼しました。
2013/12/11(水) 04:07 | URL |   #-[ 編集]
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