US-2 救難飛行艇開発物語 1巻 知られざる新型救難飛行艇・US-2の開発秘話

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『ビッグコミックオリジナル』連載、「US-2 救難飛行艇開発物語」の1巻です。
これを最初に読んだとき、えらくリアルな実録マンガだなぁと思ったね! 世界で唯一、3mもある波高で着水できる救難飛行艇・US-2の開発物語です。日本は戦時中から飛行艇の性能には定評があり、特に二式飛行艇(通称 二式大艇)は世界最高の性能がありました。戦後の日本は飛行機の研究・製造が禁止されて世界水準から大きく後れをとったけれど、飛行艇だけは例外。二式大艇の流れを汲むPS-1、US-1と開発されてUS-1Aに至ります。
そしてUS-2の製造になるのだけれど、ここに至るまでがどれだけ大変だったのかが描かれる、「〇〇を作った男たち」なストーリー。

冒頭、2013年6月 宮城県沖1200kmに浮かぶ救命ボートに乗った二人を救助するUS-2。これ、名前が無いし顔も似てませんがキャスターの辛坊治郎らを救助するときの模様が描かれてます。当時は波高4mあったらしいけれど着水して救助。下手すれば救助する側も被害を受けるために命懸けの救助だったことでしょう。

1990年。US-1Aを製造・納入している新明和工業に、防衛庁から厳しい判断が下される。US-1の運用を始めて20年近くが経ち、何度も改良が加えられて来たけれど、実運用に耐え得るものではなくなってきた。よって防衛庁は米軍で開発中のV-22(オスプレイ)の導入を考えているというのだ。そこで会社としては今後どうするかを検討。
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新明和工業の前身である川西航空機は紫電・紫電改・二式大艇などを作ったメーカー。「飛行艇の新明和」という肩書きがあって他事業の根幹を成して来た。その根幹たる飛行艇の事業を無くしてしまってもいいのか? それじゃダメでしょう! 我々には飛行艇を作り続けてきた意地がある。ならばV-22を上回る後継機を造ればいいと、開発予算の増額を切に要望。社長としても熱意ある社員たちの気持ちを受け止めて、本格開発のための部門を立ち上げた。

それから三年。研究は着々と進められ、V-22の導入を考えていると告げた海上幕僚監部に現状を話し合う。以前と違いオスプレイの事故があって開発試験が大幅に遅れていることから「導入決定」には至ってない。でも相変わらず検討中であり、新明和にとって不利な状況は変わってません。そこで次長はサシで話します。
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もしあなたが大海原を漂う遭難者なら、救難飛行艇とV-22、いったいどちらの救助を望まれますかな?
そこで答えたのが↑の画像。幕僚監部としても内心では新型の飛行艇を望んでいると知って、新明和の社員たちは喜ぶのでありました。

このような経緯から新型飛行艇を望む声が徐々に大きくなるも、研究開発費が800億円近くなるので当然無理。そこで活発に削れるところは削れるよう修正したら700億になりました。これならいいだろうと防衛庁に掛け合うも、ここから更に削減しろと言われて愕然。防衛庁にも予算の優先度があって、護衛艦や潜水艦は最優先だけど飛行艇はそんなに重要視されてないからです。
そこで元自衛隊の顧問(悪く言えば天下りだけれど、決して違反ではありません)を招聘して再度検討。要は軽量化と耐食性のバランス。コストを抑えれば性能面の向上は認められないと、元自衛隊の顧問は噛みついた。
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この人は実際に救命活動に出向いていたようで、患者や遭難者の共助はもちろん、その任務を負う隊員を一人も欠けることなく帰還させたいと熱く語る。そこで社員側としても妥協した中途半端な機体は絶対に作らないと断言。必ず納得のいく機体を造ってみせると約束をし、600億円まで縮小に成功。これを防衛庁は受け入れ、大蔵省も了承。1996年、新明和は主契約会社(プライムメーカー)の内示を通達されて、本格的な開発が始まります。
試作1号機が初飛行するまで、まだあと7年。それまでもっと多くの苦労があることだろう。

↑これはUS-2が離水する映像。3:22頃から滑空し始めて10秒程度で浮くとは、何て速さだと驚きます。これぞUS-1から受け継いだBLC装置の成せる業。難しい原理は割愛するとして、この装置によって約100kmでの極低速飛行が可能。つまり着水・離水とも ごく短い距離で可能というわけ。スゴイ技術だ!
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