geki160428.jpg
『週刊漫画ゴラク』連載、「激マン! ~マジンガーZ編~」の第40話
前回から約一か月ぶりの掲載。少年ジャンプの長根編集長に講談社『テレビマガジン』でも連載を始めたいと持ち掛けたマネージャーのタカシたちでしたが、ものの見事に反対されてしまいました。そりゃそうでしょうよ、グループ企業の他誌ならともかく、ライバル企業の雑誌にも載せたいと言ったところで反対されて当然です。

でも話はこれで終わりませんでした。何としてでもテレビマガジンで連載をしたいと持ち掛けてきた旭通信社の東さんが頭を抱えてしまいます。このままではスポンサーが降りてしまう=番組終了に成りかねないと。
geki160428-.jpg
しかもテレビマガジンの中田編集長には「載せられそう」だと言ってしまったらしく、やる気マンマン。今現在は仮面ライダーを中心にグラビアのほとんどを占めているけれど、マジンガーが載るのならグラビアページを倍にしてライダーと肩を並べたいと言ってるらしい。
はい、ここでは中田となってますが実際には田中利雄編集長です。80年代中盤までテレマガの編集長を務めていたそうで、70年代後半からのアニメブームも少なからず雑誌に影響を与えたのではないでしょうか。
geki160428-1.jpg
仮面ライダーと肩を並べると聞いて思い出すのは石森先生のアシスタントをしていた頃。いつか石森先生と勝負できるマンガ家になりたいと思っていた、それが現実になるかもしれないと──
そこで激は思いを馳せる。マジンガーと仮面ライダーが戦ってる場面を。ルストハリケーンでサイクロン号をボロボロにして動きを止め、ロケットパンチやブレストファイアーで…ってあまりに戦力差ありすぎじゃん! 

ともかくこのままでは番組が終わるとも限らない。長根編集長を納得させるためには小学館の学年誌にも載せる意向を示します。何しろ集英社は小学館の子会社。ライバル企業である以前にグループ企業ですから納得するに違いないと。
ところがそうはなりませんでした。
小学館の学年誌にマジンガーは絶対にイヤだ!
マジンガーZの漫画を激先生が連載するのなら、講談社のテレビマガジンにしなさい!
そして少年ジャンプはマジンガーZから手を引く!


え?小学館ではなく講談社を推挙するの!? それまたどうして??
geki160428-2.jpg
幼年向け雑誌に進出せざるを得ない立場はよくわかる。しかし少年ジャンプは他の雑誌と同じ作品は絶対にやらない。つまりグループ企業であるなし関係なく他誌でもやることが決定ならば少年ジャンプは手を引くと。そしてテレビマガジンを推挙したのは「幼年向け雑誌」に絞って言えばこちらの方が人気が出ると踏んだのではないだろうか。

尚、これ以降のジャンプでは「○○先生の作品が読めるのはジャンプだけ」という、専属契約を結ぶようになったらしい。実際に少年ジャンプはこれ以降の永井豪作品は読み切りはあっても連載はありません。ただし月刊少年ジャンプでは けっこう仮面や超マンなどの連載はあります。
geki160331.jpg
『週刊漫画ゴラク』連載、「激マン! ~マジンガーZ編~」の第39話
マジンガーZが大人気につき、講談社『テレビマガジン』でも別のマジンガーの漫画を持ち掛けられてきた。現在『少年ジャンプ』でやってるものはデビルマンよりはアニメとは かけ離れてないけれど、少しずつアニメとは違ってきている…
けれど低年齢層向けに違うテイストのマジンガーを描けば、アニメのイメージに近いものになるのでは?

また激を別方面で悩ませているのは、テレビ企画のキューティーハニーと ドロロンえん魔くんがほぼ同時にアニメ化決定しそうなこと。そうなったらそちらの漫画も描かなければいけないわけで、簡単に安請け合いはできないのです。
geki160331-.jpg
でもマネージャーのタカシたちから「テレビマガジンは漫画だけの雑誌じゃない」「マンガのページは少ない」と聞かされて描くことを決意。ただし問題なのはジャンプがOKするかどうか。全く別の漫画なら問題はないでしょう。けれど同じマジンガーZの漫画を、ライバル社である講談社の雑誌に連載するからにはどうしても許可が必要なんです。

そこでジャンプの長根編集長を訪れたタカシたち。やんわりと話し始めてテレビ局やスポンサーからも是非というお願いをされていると説明。反応をうかがったわけですが──
geki160331-1.jpg
逆鱗に触れてしまった様子です
そりゃ購読層は違うとはいえ別の出版社。恐喝にも似た意気込みでマジンガーの連載を頼んでおきながら、今度は別の雑誌でもやると聞かされりゃ怒るのも当然か。この怒りにより マジンガーの漫画は異例な事態になっていく…
激マン! マジンガーZ編(4) (ニチブンコミックス)
永井豪&ダイナミックプロ
日本文芸社 (2016-03-28)
売り上げランキング: 703
geki160319.jpg
『週刊漫画ゴラク』連載、「激マン! ~マジンガーZ編~」の第38話
1973年の夏 真っ盛り。マネージャーのタカシから持ち掛けられたのは子供向けの月刊誌『TVマガジン』でマジンガーの連載をもう一本増やせないかというものでした。マジンガーが大人気でジャンボマシンダーの売り上げも絶好調だけれど、もっとアピールするためには その世代向けの雑誌での連載が必要だということです。

ちなみにマジンガーは激が『週刊少年ジャンプ』で描いてる原作以外には、『別冊少年ジャンプ』(後の月刊少年ジャンプ)にて元アシスタントの桜多吾作が描いてるものがありました。こちらは当初はアニメを基準にしてたものの、徐々にオリジナル色が加わるようになります。

現在の激の連載はマジンガーとバイオレンスジャックの二本。少ないので『TVマガジン』用に描けないこともないだろう。けれどテレビ企画が進んでる作品があったことから おいそれと返事ができないのです。
geki160319-.jpg
その企画というのが「キューティーハニー」と「ドロロンえん魔くん」です。
キューティーハニーは東映動画の有馬さんからの依頼。激の得意分野──すなわち お色気路線の企画で進めて欲しいというものだったようです。いつになるかわからないとのことでしたが、デビルマンの後番組「ミクロイドS」が半年で終了したために、その後番組で始まろうとは今の激が知る由もありませんでした。
geki160319-1.jpg
また えん魔くんの方はフジテレビプロデューサーの別当氏からの依頼。こちらもいつになるかわからない、制作会社も決まってないとのこと。だから東映動画の顔を立てる手前、ロボットものは避けた方がいいとのことから妖怪ものが提案されて えん魔くんになったということですね。
当時は第二次特撮ブームの真っただ中にあって特撮番組の原作には石森章太郎氏が多く携わってました。えん魔くんはその石森氏原作の「ロボット刑事」の後番組として始まることになります。
geki160319-2.jpg
こうして この年の10月の同時期に この二作品が始まろうとは、激自身もまだ知りません。ちなみにハニーは『少年チャンピオン』で、えん魔くんは『少年サンデー』で連載が始まります。その都合 TVマガジンでの連載は無理と思われるも、まさかジャンプの連載を終了させて そのまま TVマガジンで再開しようとはね! ここのところの事情がよく明かされてないだけに具体的に知りたいものです。
激マン! マジンガーZ編(4) (ニチブンコミックス)
激マン! マジンガーZ編(4) (ニチブンコミックス) *3月28日発売
geki160305.jpg
『週刊漫画ゴラク』連載、「激マン! ~マジンガーZ編~」の第37話
1973年の夏休みは長島温泉でのサイン会で、あわや事故になりかねない事態となったのは前回で描いた通り。けれどこの夏休みは「東映まんがまつり」で激の作品が初めて劇場用に制作することになりました。東映動画の有馬さん いわく、わざわざ劇場まで足を運んでもらうにはテレビでは絶対に見られない作品にしたい。ということでマジンガーZとデビルマンを戦わせる内容を相談される!

マジンガーはフジテレビで デビルマンはNET(現 テレビ朝日)。確かにこんな作品はテレビでは作れません。でもデビルマンは3月で既に放送が終わってるのでスポンサーにもテレビ局にも関係なく作ることが出来るとのこと。
こう聞かされて激が最初に思いついたのはマジンガーがデビルマンを殺すというものだったようです。その方がマジンガーの強さが強調できると。さすがにそれは…と有馬さんは難色。ここまでやってしまったらNETにもデビルマンファンにも悪いですからね。
geki160305-.jpg
タイトルは「マジンガーZ対デビルマン」。メインのマジンガーが先に来るタイトルで、戦うにしても引き分けぐらいにしてラストは仲良くしたい意向のようです。
「対」を使ったところで決着がつかないのでは…でも"対"という字は"つい"とも読める。だったら「マジンガーZ つい デビルマン」ならばタイトルには嘘はない!
そうだったのか! 当時から私は「マジンガーZ たい デビルマン」と呼んでましたが、本当は「マジンガーZ つい デビルマン」だったのですね!
geki160305-1.jpg
そして完成品を試写で観て感動した激は、劇場にも足を運んで観たそうだ。館内は子供たちでいっぱいだったとのこと。
ストーリーはデーモンと機械獣が手を組んで大暴れをし、それをデビルマンとマジンガーが協力して戦いました。甲児と不動明は出会った当初は反発するんですよねー。強いて言えばそれが「対(たい)」です。また空からの攻撃に苦戦したマジンガーはテレビよりも先にここでジェットスクランダーを披露。エンディングでは二人(正確には一人?と1機)が仲良く空を飛ぶ姿が思い浮かびます。

マジンガー本編はドクターヘルが甲児の前に初めて姿を見せました。
geki160305-2.jpg
えーと、設定では兜十蔵とドクターヘルはライバル関係にあったことは知ってますけど「世界を滅ぼす悪魔の目」とはいったいどういうことなんだ? 当時の十蔵博士は知ってた以上にマッドサイエンティストだったってこと? よくわからんなー。

ところで数日前に「氷菓」の実写映画化が発表されて話題になりました。でも私がそれ以上に驚いたのは…
geki160306.jpg
   破裏拳ポリマーの実写映画化だ!
マジでやるの? 嬉しいなぁ! タツノコ単身ヒーロー三部作と言ったらキャシャーン、テッカマン、そしてポリマー。それまでの硬派なヒーローとは違ってユーモラスな面も含めたところがいいんですよ。最大の特徴はポリマー自身が戦闘機やドリルメカや潜水艇に変身(この作品内では"転身"と呼びます)すること。ここんところはCGでしょうね。
『月刊ヒーローズ』にてタツノコヒーローが多数登場する「インフィニティフォース」で、来月号で重大発表があるとしてたのはコレだったのか。ともかく続報に期待します。
geki160221.jpg
『週刊漫画ゴラク』連載、「激マン! ~マジンガーZ編~」の第36話
ジャンボマシンダーを抱きかかえてカメラの前でポーズをとる激。あぁこんな写真見たことあったなぁ… ポピーが73年4月に出したジャンボマシンダーが大ヒットしたことにより、その宣伝も兼ねてこういう写真が撮られました。それまでの人形といったら30cm程度が普通なのに対してマシンダーは約60cmと倍の大きさ。しかもポリエチレンという壊れにくい材質が、マジンガーZの頑丈なボディのイメージと重なったこともあって大ヒットとなったのです。
それと──これは前述した話と重複しますが 腕を取り換えることで様々な武器を装備できるという"着せ替え人形"的な遊びも出来たことが、当時の私たちの心をくすぐったんですよ。XX計画とかZZ計画とかは忘れられない名前です。

写真を撮り終えてマネージャーのタカシらとの会話で出たのがポピーの杉村常務のこと。24話にてスポンサーになってくれるよう頼みに行った際に会った人です。詳細は下記記事で。
 激マン! マジンガーZ編 ポピーは当初、3ヶ月だけのスポンサー契約予定だった
geki160221-.jpg
そのときの杉村常務は「オモチャなんか作らんからな!?」なんて言っておいて、ヒットするや出すのだから ちゃっかりしてます。でもこのマシンダーは周囲の反対を押し切って作らせたそうで、「何を作ればヒットするのか」のカンは鋭かったようです。また杉村常務は来年にまた大ヒットを飛ばす玩具を作ります。それが今でも続く超合金。ずっしりと重い重量感がこれまたリアルっぽく思えたものでした。

さて、夏休みに入って三重県の長島温泉でのサイン会に行ったのですが、ここで あわや大事故になりかねない事態になってしまいました。
geki160221-1.jpg
サインだけなら次から次へと人を流せたものが、マジンガーの絵も描くことで時間がかかってしまって子供たちが殺到。大混乱となってサイン会は中止となってしまいます。下手したら怪我人も出していたかもしれないことに激の心は晴れません。この雰囲気のまま次回に行くとなると、いよいよ少年ジャンプでの連載終了が語られそうな気がします。
激マン!マジンガーZ編 ( 4) (NICHIBUN COMICS) *3月28日発売
geki160205.jpg
『週刊漫画ゴラク』連載、「激マン! ~マジンガーZ編~」の35話
デビルマンの最終回を描き終えた ながい激はクタクタに疲れていた。初のストーリー漫画ということもあるけど精神力を思った以上に注ぎ込む必要があり、結果「あばしり一家」と「あにまるケダマン」の二本を終了させてまで集中力が必要だったからだ。
もう当分は『少年マガジン』の仕事はしたくない…との一方で張り切lりだしたのはマジンガーZを描いている ナガイ激! これで余計なエネルギーを取られないで済むと元気爆発。一時期の週刊少年誌5誌同時連載をしていた時期と比べて今はマジンガー1本だけなのだから、自由になれた感情は相当なものだったんじゃないでしょうかね。
geki160205-.jpg
マネージャーのタカシらとの談笑で次回作について話すも結果には至らず。マガジンでハレンチものをやったらジャンプへの裏切りになるとか、せっかくストーリー漫画が描けると証明できたのにギャグには戻りたくないなどと話してます。
つまりまだデビルマン疲れで何も考えられない。そのうちアイデアも出るだろうととのことでした。
  この時点までは!
geki160205-1.jpg
それから数日後、燃え尽きたと思われた激の精神エネルギーが再び炎上し始める。そう、バイオレンスジャックのアイデアが浮かんだのだ。少年マガジンには当分の間 描かないと思っていたけれどデビルマンが終了して僅か4号後に連載が始まろうとは激自身も思わなかったんじゃないですかね。しかもそれがデビルマンの続編だったなんて尚更です。

マジンガーの描き直しは人質になった さやかさんについて。
geki160205-3.jpg
右上が原作、左が今回。もうどっちがいいかだなんて語るまでもないですね!
激マン!マジンガーZ編(4): ニチブン・コミックス *3月28日発売
geki160121.jpg
『週刊漫画ゴラク』連載、「激マン! ~マジンガーZ編~」の34話
当漫画の前作「激マン! デビルマンの章」を書いていた ながい激は、デビルマンの終盤になって精神も肉体も すり減らして苦闘を強いられる日々。一方、同時期にマジンガーを描いている当漫画の ナガイ激は絶好調。更に読み切り漫画を数本描くなどハイテンション状態です。
二人はもちろん同一人物の永井豪。各作品ごとに別人格に成り変わるが如く 気分を切り替えられるのが特徴のようで、だからこそ数多くの作品を同時に描けたのでしょう。ジュンプ・マガジン・サンデー・チャンピオン・キング、当時全ての週刊少年誌5誌に同時に連載を持ったのは後にも先にもこれからも破られない記録ですね。ちなみに1986年だったか、『週刊少年 宝島』という雑誌が10数冊出たのですけど、永井豪はこれにも連載してました。つまり週刊少年誌全てに連載を持った人物も永井豪 一人だけということになります。

疲れた身体を癒すには温泉が一番。そんなタイミングで一泊二日の温泉行きが持ち掛けられました。但し仕事込みで、マジンガーのサイン会を催すついでに温泉にも入れるということです。
geki160121-.jpg
ファンサービスは大事だけど緊張するし大勢の前で絵を描くのはけっこう重労働。そこで温泉。場所は三重の長島温泉だそうです。あー、東海地区の人にとってはお馴染みの場所。この季節は併設してある「なばなの里」でのイルミネーションが見ものなんですよね。特撮番組でもお馴染みで「少年探偵団」に登場したし、「鉄人タイガーセブン」ではラスト2話がここで撮影されました。当時の特撮番組はスタッフ一同の慰安も兼ねてタイアップで温泉地に行くことがあったのですよ。「円盤戦争バンキッド」も最後は蒲郡の三谷温泉ロケでした。
長島温泉に行くのは7月だそうで、その模様が描かれることを期待します。
geki160121-1.jpg
それとポピーから遂に出ましたジャンボマシンダー! 腕のパーツがXX計画とかZZ計画とかで出てたんだよねー。当時のテレビマガジンは毎号この写真が載っていてうらやましく思ったものでした。ポピーはこのジャンボマシンダーによって業績が伸びていきます。そして来年発売する超合金の大ヒットにより玩具業界のトップになるわけですが、それはまた別のお話し。
geki160121-2.jpg
マジンガーの描き直しは「連れ去られるマジンガー」について。右上の原作は甲児が殺人アンドロイド・ガミアQと戦ってる間に あしゅら男爵が弓博士を脅迫して持ち去られてしまいます。左下の今回のは甲児が気絶したと見せかけて、わざと連れ去られて さやかさんを救出しようと計画してます。甲児はなかなか頭脳犯ですな。